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朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は、こう訴えた。
松木氏は、シンポジウムを企画した民間団体「国際歴史論戦研究所」(所長・山下英次大阪市立大名誉教授)の上席研究員を務め、ジュネーブでスピーチを予定している。
軍艦島を含む「明治日本の産業革命遺産」は2015年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。
しかし、日本の近代化を支えた歴史的遺産に対し、韓国では反発が起き、17年には虚偽や創作で「地獄島」と位置づけた映画「軍艦島」が公開された。
映画では、過酷な労働を「強制」された朝鮮人徴用工らの存在を隠すため、日本軍が炭坑に閉じ込めて爆破を試み、朝鮮人が集団で命を賭けて脱出を図るという内容が描かれている。
史実とはかけ離れた描写が目立ち、韓国人の反日感情を強く刺激している。
だが、実態はむしろ逆だった。
松木氏は、一次資料にあたり、元島民から話を聞いたうえで、「日本人労働者との給料差別はなかった。
日本国内の別の炭鉱にいた朝鮮人労働者が『給料がいいから』と言って移ってきたという元島民の証言もある。
朝鮮人向けの遊郭まであったことは、労働者に余裕があったことを示している。
戦後も『ここの方が生活しやすい』と、韓国から軍艦島に戻ってきた人もたくさんいる」と話す。
日本人労働者と朝鮮人労働者の関係も良好だった。
松木氏は「ほとんどの朝鮮人労働者は徴用ではなく、日本人労働者と同じようなアパートに、家族と暮らしていた。
日本人と朝鮮人の子供たちは学校で一緒に机を並べて学んでおり、待遇差は一切なかった。
だから、終戦後に朝鮮人労働者が帰国する際には、涙を流しながら別れを惜しんだというのが軍艦島の実態だ」と説明する。
シンポジウムでは、松木氏のほか、元島民の坂本道徳氏(65)がスピーチする。
坂本氏は、朝鮮人労働者と作業した元島民から当時の状況の聞き取り調査をしており、それに基づいて軍艦島の実態を語る。
韓国国内でも、映画「軍艦島」のデタラメぶりに気付いている良識的な研究者らがおり、シンポジウムに参加する。
いわゆる「徴用工」問題について、「朝鮮人を意図的に危険で劣悪な作業に配置したという通説は、事実と異なる」と結論づける論文を書いた韓国・落星台(ナクソンデ)経済研究所の李宇衍(イ・ウヨン)研究員も登壇する。
李氏は「韓国の『強制徴用』の神話」と題した研究成果を説明する予定だ。
慰安婦問題でも誤ったイメージが国連会合を通じて拡散した側面があり、国際歴史論戦研究所は、戦時中に朝鮮人への賃金上の差別はなく、朝鮮人徴用に不法性はなかったとする意見書を国連人権理事会に提出する準備も進めている。
松木氏は「映画『軍艦島』で描かれた内容が真実として世界に流布しつつあり、韓国の人も信じている。軍艦島への韓国側のウソを徹底的に暴くことで、徴用工問題全体での韓国の主張がいかにおかしいかが分かる。これだけ論破しやすい映画はなく、映画を作ったのは大失敗だ。一点突破で、風穴を開けたい」と話した。
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◆軍艦島の「徴用工」問題 2015(平成27)年、長崎市の端島炭坑(通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。
これに対し韓国で反発が起き、虚偽や創作で軍艦島を「地獄島」と位置づける映画が制作されるなど戦時徴用をめぐる誤解が広まった。
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