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このケースではアメリカ政府はロシア軍の行動を問題とせず、ロシアのメディアに対して抗議しました。
「我がロシア軍のSu-24攻撃機がアメリカのイージス艦に肉薄しクリミアに向かう進路を変えさせた」と報道したことに対して事実ではないと否定する目的です。
その説明の中で高度180m距離500mまで接近して飛行したことは敵対的なものではないとしています。
つまりアメリカはこの程度の飛行なら「付近を通過しただけ」と全く問題にしない態度を取ったのです。
なおこの反応に怒ったロシアは接近飛行をエスカレートさせていき、翌年にはSu-24攻撃機がイージス艦にわずか9mまで異常接近を行っています。
ただしアメリカはこの他の事例では距離900mの接近であっても攻撃機が模擬的な襲撃飛行を行ってきた場合には敵対的な行為として抗議しています。
海面すれすれを超低空飛行して接近してから急上昇するパターンです。
敵対的な行為として判断する材料は高度と距離だけでなく、武装の有無や飛行の意図も含まれることになります。
では12月20日に発生した韓国駆逐艦レーダー照射事件での海上自衛隊P-1哨戒機の飛行の意図はどう見做されるでしょうか。
まず観測目的で飛んで来たことは明白で、実際に観測行動しか取っていません。
けっして模擬襲撃飛行は行っていないことは日本側が公開した動画を見れば分かることです。
そもそもP-1哨戒機は武装することも可能ですがエンジン4発の大型機であり、小型の戦闘機と比べると速度と運動性は低い機体です。
駆逐艦クラスの水上艦相手に距離500m~5000mまで接近してから交戦した場合はとても生き残ることが出来ません。
P-1哨戒機で対艦攻撃する場合は相手の艦対空ミサイルの射程外から攻撃するスタンド・オフ攻撃と呼ばれる戦い方を通常は選びます。
有力な対空兵器を持つ相手に接近した状態での襲撃飛行は自殺行為であり、やろうと考えもしないでしょう。
韓国駆逐艦レーダー照射事件でP-1哨戒機が韓国駆逐艦に対して高度150m距離500mで飛んだのは模擬襲撃飛行ではなく観測飛行であり、ほぼ近い高度180m距離500mという黒海でのロシア攻撃機とイージス艦のケースで問題にしなかったアメリカ海軍なら、やはり問題にすることはないと思われます。
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